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多摩で暮らす人 case02

吉祥寺出身デザイナーがつくる、地元愛に溢れたバンダナ
矢嶋勇亮さん(武蔵野市)

写真:矢嶋勇亮さん

矢嶋勇亮さん

自然・商業施設・住宅地が近接し、新宿や渋谷にも電車で1本という利便性もあり、「住みたい街ランキング」では度々1位を獲得する武蔵野市。そんな武蔵野市吉祥寺で30年以上も暮らし、現在は吉祥寺を拠点に自身のファッションブランド「UNRESS」のデザイナーを務める矢嶋勇亮さんに、吉祥寺の魅力と地元をテーマにしたバンダナに込める思いを伺った。

プロフィール

〇矢嶋勇亮さん
1983年東京都生まれ。文化服装学院・早稲田大学卒業後、デザイナーズブランドを経て自身のブランド「UNRESS(アンレス)」をスタート。吉祥寺生まれ、吉祥寺育ちのデザイナーとして、2021年に地元・吉祥寺の地図をデザインしたバンダナを制作。ポップアップストアやオンラインショップを中心に販売を行う。

店舗情報

〇UNRESS
「形のないもの (=Phantom) を描いていく(=Drawing)」をモットーに、感情や感覚、目には見えない大切なことをプロダクトに投影。グラフィック、パターンメイキング、ディティールデザインに重きを置き、派手さはないが「響く」デザインを提案する。
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Tシャツは胸元にチェックのパターンがドッキングしたデザインで、派手過ぎず何にでも合わせやすそう。

—洋服に興味をもったきっかけは?

実家で一緒に住んでいた祖母の影響ですね。祖母が洋服好きで、吉祥寺のアパレルショップによく一緒に連れていってもらっていたんです。ファッションを楽しんでいる様子が今でもすごく印象に残っていて。本当にかっこいい祖母でした。

—素敵なお祖母さんですね。その頃からデザイナーに憧れが?

祖母の行きつけのお店はいくつかあって、どのお店も幼かった私にすごく良くしてくれたんですよ。自分もそんな大人になりたくて、ファッションに関わる仕事を夢見るようになりました。

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吉祥寺の西エリアにある中道通り。レンガが敷き詰められた全長約540mの商店街は、
昔ながらの雰囲気を残しつつも近年では個性的で瀟洒なショップが続々オープン。

—吉祥寺での人との出会いが矢嶋さんをデザイナーの道に進ませたんですね。だからこそ吉祥寺に拠点を?

デザイナーとして独立した頃は事務所を借りる余裕もなかったので、吉祥寺の自宅の1室を拠点にしていました。やっぱり地元ですし、いつの間にかこの辺りのお店の人やクリエーターたちと友達になっていって、気づいたら吉祥寺に根付いていましたね。今でも新作のアイディアやディティールに悩んだらクリエーター仲間や地元の人に相談しに行ってます(笑)。バンダナを作ってからは、コミュニティがさらに広がって、地元の人たちとのつながりがもっと強固になっていったような気がします。

—どうして吉祥寺のマップをデザインしたバンダナを作ろうとしたんですか?

ちょうどコロナ禍に、お店を開けている・営業しているっていうのが厳しい時期があったじゃないですか。でもお店の人も生活があるし、僕自身が吉祥寺の色んなお店を回ってこれまでいろんな感性を磨いたり、勉強させてもらってたからこそ、地元のお店の方々と何かしらでつながれないか、僕にできることはなんだって考えて地元をテーマにしたバンダナを作ろうと思ったんです。

—地元とのつながりがきっかけだったんですね。

プリントされているマップには実際に吉祥寺にあるお店をデザインしているんですよ。お店のセレクトは、地元民の僕も愛読している吉祥寺の情報ファンサイト「Kichifan」さんにしていただいて。それに僕がよく通う洋服屋さんも載せています。だからマップとしても結構ホットな情報がつまってるんですよ。

—どうしてバンダナだったんですか?

バンダナって適度に無駄なものじゃないですか(笑)。なくてもいいんだけど、あったら豊かになるものっていうのかな。実際になくても生きていけるけど、でも暮らしのなかにあったら良いよねっていうラインを衝きたくて。こういう絶対的なものじゃないけど、何かを変えられる力を秘める小さいものっていうのが、今の世の中へのアンチテーゼというか。こういうことが今一番大事なんじゃないかなって思うんですよ。だからこそバンダナを選びました。

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(上)第1弾のバンダナ(白色)と第2弾のバンダナ(黒色)
(下)2021年グッドデザイン賞を受賞した「吉祥寺かるた」の第2弾「吉祥寺かるた行くぜイースト」。

—バンダナ制作で大変だったことはありますか?

実際にマップに載せるお店に1店1店許可を取りに行ったので、結構時間がかかってしまいましたね。でも大きな商業施設に断られる覚悟で直談判しに行ったら、案外快く受けてくださって。オンラインのみでの販売予定だったんですけど、パルコや駅ビルのキラリナからイベントをやってくださいって声を掛けていただいたり、大小関係なくたくさんのお店が取り上げてくださって、地道にいろんなお店に声をかけて良かったなと思いましたね。デザインのイラストを担当してくれたのも、僕の小学校の同級生で。本当に吉祥寺産というか、地産のものですね。決して地消にはしたくないですけど(笑)。

—まさに町と一緒に作り上げたバンダナなんですね。デザインへのこだわりは?

全体的に宝の地図みたいなイメージにしていて、道は実際と変わらないんですが、建物はちょっとアレンジしてファンタジーっぽいデザインにしたんですよ。ここには載っていないお店も自分で探してみて、みたいな余白も残しています。やっぱり僕はアパレルブランドをやっている以上、企画がおもしろいだけじゃなくて、モノとして、デザインとして良いなと思ってもらえるように作り込みたい、っていう意識で制作していました。

—第2弾のバンダナも作られたんですよね?

第1弾がきっかけで、吉祥寺駅の東側のちょっとマニアックなエリアにフォーカスした第2弾バンダナを作りました。第2弾では、吉祥寺のご当地かるた「吉祥寺イーストサイドかるた」とリンクしたデザインになってます。このかるたは、ご当地あるあるやおもしろいお店をSNSで募集してそれを読み札にしていて、地元のリアルな声を集めた人気スポットが厳選されているんです。その読み札のお店をバンダナにデザインしています。

—第3弾、第4弾のご予定は?

今後も地元をテーマにしたものづくりは続けていきたいと思っています。ありがたい事にすでにこのバンダナのデザインを活かしてこういうものを作って欲しい等、色々と要望を頂いているのでブランドとしてクオリティが保てるものは形にしていきたいと思っています。個人的には1点物のバンダナを製作するなどアート寄りの方向性にシフトしていくのも面白いと思っています。

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吉祥寺駅を出てすぐの吉祥寺サンロード商店街。
ハーモニカ横丁は昔懐かしい情緒を残したレトロな街並みが魅力。

—地元・吉祥寺への愛がすごく伝わってきます。

そうですね(笑)。実際、愛着もありますけど、生活していて不便なことがないんですよ。全てが手の届く範囲にあって、何でもできるし何でも手に入ります。地元なのもそうだけど、実際に暮らしやすいのもずっとここに残っている理由かもしれませんね。

—「住みたい街ランキング」では上位にランクインされる武蔵野市。実際住んでる立場としていかがですか?

今子どもが2人いるんですけど、子育てするにもまったく不便がないですね。病院とかも多いし、何と言っても井の頭公園の存在は大きいですね。しょっちゅう子どもを連れて行ってます。ほかにも、子ども無料の市民プールとかもあって、親子で一緒に遊べる施設が充実しています。交通の便もとても良くて、東京の西に行くにも東に行くにもあんまり時間は変わらないし、都心にもすぐに出れますね。唯一、最近は人が多すぎるかな…(笑)休日の駅前とかはあんまり歩きたくないかも。

—観光客も多いですよね。たくさんの人が訪れる武蔵野市の魅力はなんだと思いますか?

気取らずにナチュラルでいられる住み心地が魅力だと思います。そして僕もそうであったように、色んなカルチャーに触れられる町だと思います。何か特化しているものはないんですが、限りなく5角形が広い町というか(笑)許容範囲の広い町だなって。そういう自分が好きなものを受け入れてくれて、ありのままでいられる活動拠点となる町だなって思います。

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「たった布1枚がこんなにも発展していくなんて自分でも驚きです。
今後も自身のブランドともに吉祥寺をテーマにした活動を続けていきたいです。」

—地元であり、お仕事でもたくさんのお店を回った矢嶋さんだからこそのおすすめスポットはありますか?

吉祥寺の個人店は魅力的なお店がいっぱいありますね。意外と知られていないおすすめスポットだと、東急百貨店の屋上。芝生になっていて、子どもを遊ばせるのにぴったりなんです。東急百貨店の中で買ったパンを子どもたちと一緒に屋上でよく食べています。

—やっぱりこれからも吉祥寺で暮らし続けたいですか?

もちろんです。強いて言うのであれば、なんでもある吉祥寺にも唯一海がないんですよね。僕も妻も海が好きなので、将来的には海の近くに拠点をもう1つ構えて流行りの2拠点スタイルをしてみたいですね。でも吉祥寺を手放したり、完全に移るってことは今は全く考えていないです。僕と吉祥寺は切っても切れない仲です。

遊びに行くならココ!
市民の憩いの場「都立井の頭恩賜公園」

都立井の頭恩賜公園は大正6年に開園。当初は郊外に位置する公園とされていたが、現在では住宅地に隣接する貴重な緑の空間として、市民だけでなく全国からたくさんの観光客が訪れる。武蔵野市と三鷹市にまたがる広大な園内には、テニスコートや野球場などのスポーツ施設から、動物園や弁財天、三鷹の森ジブリ美術館など、見どころが満載。春には満開のサクラが井の頭池の水面に美しく映り、秋には黄色から赤まで鮮やかな色彩が園内を彩る。

写真:都立井の頭恩賜公園

池の周囲に咲くサクラは約200本。
花吹雪が水面に散り敷く様は見事。