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多摩で暮らす人 case05

通勤0分 家族との時間を増やすための住居兼カフェ
山岡由忠さん(東村山市)

写真:山岡由忠さん

山岡由忠さん

都心から約30km圏内にありながら、狭山丘陵を背に東に広がる東村山市は、『となりのトトロ』の舞台のモデルとなった八国山緑地などの自然が豊かな住宅都市。もともと都心でカフェを営んでいた山岡さんは、夢だった住居兼カフェを構えるために東村山市に移住。今の暮らしについて伺った。

プロフィール

〇山岡由忠さん
農園指定のスペシャルティコーヒーを扱う「cafe Fuu」のオーナー。学生時代のカフェでのアルバイトを通して自身のカフェを開くことを目指し、大学卒業後には製菓の専門学校でスイーツ作りを学ぶ。(東京都文京区)茗荷谷駅付近で14年間コーヒー店を営み、住居兼店舗を構える場所を探すタイミングで東村山市に移転。カフェ経営の傍ら、趣味でキックボクシングを続ける。2020年にはプロデビューを果たし「46歳のプロデビュー」としても話題に。

店舗情報

〇cafe Fuu
自家焙煎のオリジナルブレンドコーヒーが自慢。コーヒーのほか、コーヒーとよく合う自家製スイーツと半熟トロトロオムライスが店主イチオシ。カフェスペースではゆったりとしたひとときを過ごすことができる。ドリンクのテイクアウトやコーヒー豆の挽き売りも実施している。
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もともとは紅茶党だった山岡さん。焙煎の奥深さに触れ、コーヒーの魅力に取りつかれていったという。

—自身のカフェを開こうと思ったきっかけは?

もともとコーヒーは苦手だったんですけど、喫茶店で働くうちに焙煎やコーヒーを淹れることへの楽しさにハマっていって、自分のお店を持つことを志すようになりました。2002年に独立して、今年で20周年です。

—もともとは茗荷谷にお店があったんですよね?

独立当時は石神井公園でお店を始めました。その時はあんまりうまくいかなかったんですよ。その後卸だけの活動とか焙煎の工房をして、改めて2006年に茗荷谷にお店をオープンしました。2020年まで営業していたのでおよそ14年間茗荷谷にいましたね。

—14年間!長いですね。どうして茗荷谷を離れることに?

本当は茗荷谷でも続けたかったんですけど、コロナもあってお店が大変で…。茗荷谷のお店はちょうど大学の目の前にあって、学園祭とか卒業式などのイベントで一気に集客していたものですから、コロナでイベントがすべて中止になったのは厳しかったですね。

—なるほど。それで東村山市に拠点を移したんですね。

たまたま東村山市をおすすめされまして。通っているジムも西武線沿いだったので東村山市に移ることにしました。今ココは住居兼店舗なんですよ。もともと、自宅を建ててその1階でお店ができたらいいなってずっと思っていたので、住居兼店舗が実現できたのはとても嬉しいです。

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どこか温かみを感じるおしゃれな店構えの「cafe Fuu」付近には行政施設も多い。

—住居兼店舗にしたい理由があったんですか?

子どもがまだ小さかったのですが、家からお店に通っているときは、仕入れや仕込みなどで朝は早いし、夜も遅かったんです。あんまり子どもとの時間を作れていなくて、仕事と育児のバランスを良くしたかったですし、子どもとの時間を大切にしたいと思いました。今だったらケーキひとつ焼くにしても、焼いている間だったり冷ましている間、そういう空いた時間で上の階にいって子どもと話したり、家のこともできるのでかなり楽になりました。

—家族とのコミュニケーションを図るための住居兼カフェなんですね。

それに、私が幼い頃は親の転勤が多くてよく転校していたんですよ。生まれは福岡なんですけど、すぐに埼玉に行って、次に東京、また福岡…みたいな。だからこそ自分の子どもは転校しないでいられるように、っていうのもありますね。

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店頭には10種以上の豆が並ぶ。
産地や味わいをわかりやすく説明したポップやコーヒー器具なども揃う。

—カフェを運営されるなかで大事にされていることはありますか?

今のお店はそんなに広くないので、テイクアウトやコーヒー豆の販売にも力を入れています。だからこそ焙煎や豆の品種などの勉強は続けています。年に1回程度、原産国の方や生産者さんを招いて講座を開いてもらったり、いろいろなことを教えてもらっています。より美味しいコーヒーをご提供できるように日々勉強を続けて、色んな味が出せるように自分のコーヒーの幅を広げていきたいです。

—お食事メニューやデザートも山岡さんが作られるんですか?

そうです。デザートは大学卒業後に洋菓子の専門学校に通って学びました。専門学生になったとき、周りはみんなもともとお菓子を作るのが好きな人たちばかりだったので、全然作れなかったのは私くらいでした(笑)。今ではガトーショコラやシフォンケーキが自信作です。

—カフェとしての今後の目標はありますか?

市役所や駅とも近いので役所にお勤めの方や地元の方が良く来てくれていますが、もっと市民のみなさんに知ってもらえるように取り組んでいきたいです。八国山緑地で開催される「東村山菖蒲まつり」では出店もできるようなので、そういったところに出店して町の皆さんとの繋がりをたくさん築いていきたいです。

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大人気の「ガトーショコラ」。
コーヒーに合うようにチョコレート感を強く感じるよう調整しているという。

—趣味がキックボクシングと伺いましたが、プロデビューもしているんですよね。

はじめは遊びくらいの感覚で始めたんですが気付いたら夢中になってました。無心になれてストレス解消にもなりますし、健康にも良いし、なにより楽しいです。もともとプロになる気はなかったんですけど、ちょうどカフェ移転のタイミングでお店が休みだったので、今ならちょっと怪我しても大丈夫かな、なんて思ってデビュー戦に挑戦してみました。

—お仕事の後にジムに通われているんですか?

朝にケーキを作って、昼間はお店に立ち、夕方からジムに行って、夜に焙煎する。みたいな感じですかね(笑)。私がジムに行っているときはアルバイトの方にお願いしています。子どもも一緒にキックボクシングをやっているので、家にもサンドバックなどが揃っていて一緒にトレーニングしたりランニングに行ったりもしています。

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八国山緑地の麓に位置する北山公園はのどかな空気と豊かな自然が広がる。

—東村山市は自然も豊かですし、ランニングはとても気持ちよさそうですね。

多摩湖とか八国山緑地とかまでよく走りに行きます。距離的にもランニングにちょうどいいですし、八国山緑地は柔らかい土の地面で、木陰が続いているので気持ちよく走れます。加えて四季折々の景色も楽しみのひとつですね。桜並木や北山公園の菖蒲は絶景です。

—普段の東村山市での暮らしはいかがですか?

都心までのアクセスも良いですし、市内は基本的に自転車があれば移動に困ることはないですね。お客様も半分くらいの方が自転車です。加えて、東村山駅を再開発していて、東西の駅前広場の連絡が楽になるように道路を整備しているようなので、より一層移動や交通の利便性は高まっていくと思います。カフェの前の道も整備されるようなので楽しみです。

—お気に入りスポットは?

やっぱり八国山緑地ですね。ランニング以外でも子どもと遊びに行くので週1くらいは行っています。普段、外でご飯を食べるときは久米川駅の方によく行きますね。東村山駅よりもご飯屋さんも豊富にあってお気に入りです。あとは電車で1駅で「西武園」にも行けるので子どもと遊びに行ったこともあります。

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「コーヒーの知識をもっとつけて、この店を知らない方々にももっとアプローチできるようにしたいです。」

—実際、23区内でお店を構えていたときと比べて生活に変化などは?

正直そんなに変わらない印象です。地元のお客様にも「なんでわざわざこんな田舎にきたの?」と聞かれるんですけど、私としては田舎とは思わなくて。唯一終電が早いところくらいじゃないですかね(笑)。23区内で家を建てるとなるとなかなか難しいところもありますし、お店をやるっていうのが前提なので駅近にしたかったですし。そうなると現実的に場所は限られてきます。

—山岡さんにとって東村山市の魅力は?

自然がとても豊かなのに、23区内とほぼ同じように不便なく生活できるところですね。もし23区内で住居兼店舗を建てていたら費用や手間がかなり変わってきますよね。23区内と同じような暮らしなのに、理想としていたゆとりのある環境を実現できたのは東村山だったからだと思います。東村山に訪れた際はぜひ当店へ。美味しいコーヒーを淹れて待っております。

駅前を再開発!
より便利に進化する東村山

東村山市は令和4年3月に、東村山駅周辺の連続立体交差事業等とあわせて取り組むまちづくり計画「東村山駅周辺まちづくり実行プラン」を発表。利便性の向上に加えて、にぎわい・交流の創出、安全で快適な道路によるまちの一体化を目指す。新駅舎の外観デザインや東口駅前広場のリニューアル、土地の高度利用や都市機能の集積をすることで機能的な面でも便利になり、より暮らしやすい新たな東村山への進化が期待される。

画像:町田市100人カイギ