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多摩の魅力発信SP

多摩で暮らす人 case09

自然と利便性の絶妙なバランスが若き匠たちを育む街
瀧ヶ﨑 稜さん、ザック・アーサー・セドリック(アチュ)さん、清田 祐生さん(八王子市)

写真:瀧ヶ﨑 稜さん、ザック・アーサー・セドリック(アチュ)さん、清田 祐生さん

左から瀧ヶ﨑さん、アチュさん、清田さん

高尾山をはじめとする豊かな自然を抱きながら、都心まで一時間以内の交通の便にも恵まれ、人口55万人を超える都市としての側面も併せ持つ八王子市。
そこで、神社仏閣などの伝統建築を手掛ける「宮大工」の修行に励む三人の若者にお話を伺いました。

プロフィール

〇お名前
瀧ヶ﨑 稜さん、ザック・アーサー・セドリック(アチュ)さん、清田 祐生さん
(ザック・アーサー・セドリックさんについて、本記事の中ではご本人の希望により、フランス語読みの音に最も近い「アチュ」さんという表記を使用します。)
〇お仕事
株式会社吉匠建築工藝(八王子市川口町)に勤務し、宮大工修業中
〇ご家族
千葉県(瀧ヶ﨑さん)フランス(アチュさん)新潟県(清田さん)
〇居住歴
令和6年から八王子市に移住 八王子市在住歴1年

所属企業の概要

〇株式会社吉匠建築工藝様
株式会社吉匠建築工藝様
昭和52年創業
社寺建築・文化財修理・注文住宅などを手掛ける建築企業

東寺の五重塔に衝撃を受けて人生が変わりました。

—まず宮大工というお仕事について説明してください。

瀧ヶ﨑さん:いわゆる「大工さん」と呼ばれる仕事にもいろいろな種類があるのですが、一般的には木造住宅を手掛ける「家屋大工」が主流です。
「宮大工」は同じ木造建築でも、主に神社仏閣を手掛ける大工です。家屋大工とは使用する工法が異なります。家屋大工は釘やボルトなどの補強金物を使って住宅の枠組みを作り上げますが、宮大工は「木組工法」と呼ばれる、木材を組み合わせることだけで建物の構造を作り上げます。
当社では伝統的な「木組工法」と3Dレーザースキャンなどの先端技術を組み合わせて、日本建築が持つ古来からの美意識を加味した建築を目指しています。

—なぜ皆さんは宮大工になりたいと思ったのですか?

清田さん:小さいときから家とか木を使ったモノづくりが好きで、高校も工業高校で、その後専門学校に行き、住宅の大工さんを目指していました。そんな中、先生からこんな選択肢もあるよってテレビで放映されたこの会社を紹介されました。やっていることも、会社の場所や雰囲気もとてもいいなと思ってここに来ました。
住宅の大工さん(家屋大工)が嫌なわけじゃなかったんですが、やはり最近はコストやスピード重視で、技術が割とシンプルになってきています。それよりも伝統的な技術を駆使する宮大工の方が自分の性に合っていると思いました。

写真:清田さん
写真:技術研修の様子

清田さん(上) 技術研修の様子(下)

アチュさん:もともと日本のことは大好きで、なんとか日本で働けるといいなと思っていました。最初は特に「宮大工になりたい」と考えていたわけではないのですが、ネットで日本のことを調べているうちに、インスタグラムで専務の「然さん」(※吉匠建築工藝専務 吉川然無氏)の動画を見て「なんてすごい技術なんだ! かっこいい、僕もああなりたい!」と思って会社に連絡しました。あの動画を見ていなかったら別の形で日本に関わっていたかもしれません。
だから、私がいま宮大工を目指してこの会社に、そして八王子という街にいるのは「運命」だったと思っています。

写真:アチュさん
写真:伝統技術の習得に励む三人

アチュさん(上) 伝統技術の習得に励む三人(下)

瀧ヶ﨑さん:私は中学生の時に京都に母と旅行に行き「東寺」の五重塔を見たんですよ。それがすごく衝撃的でした。五重塔って高さが55メートルもあるのですが、クレーンなんかもちろんない時代にこんなものをどうやって作ったんだろう? とか、自分の作ったものが数百年経っても誰かに見てもらえるってどんな気持ちなんだろう? とかいろいろと感銘を受けて。
自分もそういうものを作れる人間になりたいと思ったのが宮大工を目指したきっかけです。
あれで人生が変わりましたね。

写真:瀧ヶ﨑さん

瀧ヶ﨑さん

写真:吉匠建築工藝様施工実績 落合白山神社

吉匠建築工藝様施工実績 落合白山神社

写真:吉匠建築工藝様施工実績 宗出雲路派本山毫攝寺鐘楼 3Dスキャン画像

吉匠建築工藝様施工実績 宗出雲路派本山毫攝寺鐘楼 3Dスキャン画像
【撮影協力:T&I 3D株式会社】

自然もあるし便利さもある。バランスがいい街。それが八王子

—八王子の好きなところを教えてください。

アチュさん:私はフランスのボルドーという地域の出身ですが、ボルドーと比べるとすごく都会という感じがします。
でも私は賑やかなところが好きではないので、八王子駅周辺よりも、静かで川が流れている社宅や会社のあるこのあたりが好きです。特に会社の休憩所は、川のすぐ上にあって、そこでせせらぎを聞いているととてもリラックスできます。なにも考えないでいい。
あとは、市内の橋の上に立つと山と川が一緒に見えて、その風景も美しいなって思います。

写真:橋の上に立つと川の向こうに山を臨む、ほっとする景色が見えます

橋の上に立つと川の向こうに山を臨む、ほっとする景色が見えます

清田さん:実家がある新潟の地元エリアとは違って、スーパーマーケットが遅くまで営業していたり、八王子駅の方に行くと飲食店に困らなかったりという利便性が気に入っています。
ただ、私も人混みは好きじゃないので、アチュが言ったような自然の美しさも気に入っています。ちょうどバランスがいい感じですね。

写真:商業施設があつまる八王子駅付近

商業施設があつまる八王子駅付近

瀧ヶ﨑さん:比較的、「街」なのに市内を川がたくさん流れているのは素敵ですね。
それと自分はバイクが好きなのですが、大垂水峠にツーリングに行くとカーブが多く、走っていて楽しいです。
他には人が優しいのが気に入ってます。東京でも23区内だと、車を走らせていて歩行者に道を開けてもらえる機会ってほとんどないのですが、八王子市内で運転していると歩行者の方が気を使って道を開けてくれたりします。温かい人が多いんだと思いますね。

写真:アチュさんお気に入りの川が見える休憩所1
写真:アチュさんお気に入りの川が見える休憩所2

アチュさんお気に入りの川が見える休憩所

八王子ラーメンからコンビニアイスが鉄板! そしてReady? Go!の街

—八王子の良さについてプレゼンテーションしてください

瀧ヶ﨑さん:新宿までJRで50分弱で行ける一方で、高尾山とかの自然もあって、檜原村とか奥多摩とかにも簡単にアクセスできる。後は「家族で過ごしやすい街」だよって言いたいですね。まだ独身ですけど笑。でも将来結婚しても八王子に住むというのは主要な選択肢になってきますね。

清田さん:東京なんだけどあまり東京過ぎない街、それが八王子だと思っています。都会って言うほど都会じゃないし、でも田舎というほど田舎じゃない。車で来ても停めるところいっぱいあるし、なんなら箱根とか湘南とか横浜にもほぼ1時間で行けちゃう。すごく暮らしやすい街ですね。

アチュさん:まず、八王子ラーメンがめちゃくちゃ美味しい!フランスから友人が遊びに来た時は、八王子ラーメンを食べて、その後コンビニのアイスをごちそうすると大満足してくれます! フランス人向け鉄板セットですね。
あと、自分にとって八王子は「Ready? Go!」の街です。
毎日山や川の自然に癒されてReady、仕事のときは気合を入れてGo! ができる。
ReadyもGoもどっちもある街、それが八王子です。

瀧ヶ﨑さん、清田さん:アチュずるいよ~、最後にそんな良い答え出して~!
アチュさん:いや社長にも毎日「Ready? Go! 気合い入れていくよ、アチュ」って言われてるから、笑。